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JP総合研究所
学者コラム
東海大学政治経済学部教授 立原 繁
2009/04/06
私の研究範囲は経営学である。その中でも「比較経営論」という分野を専門としている。企業同士や産業同士を対象とし、いわゆる「人・組織・技術・ノウハウ・金・情報・不動産」などを比較し、それぞれの強みと弱みを分析、その対象企業・産業の経営戦略や経営政策の立案を行うものである。
その観点で、今回設立されたJPEXとヤマト運輸を比較すると、どうしても気になる点がある。それは、「人」と「組織」の問題である。JPEXはSD方式による集配一元化(配達と同時に集荷・営業を行う)を採用する方針である。しかし、ヤマト運輸が導入している「小集団活動組織」は採用するかどうかは不明だ。ヤマト運輸はSD方式による小集団活動組織を導入しており、SDが5〜8名でグループを作り、グループ間の競争と組織管理を行っている。グループ長にはさまざまな権限が与えられ、(1)荷主との運賃額の交渉と決定、(2)荷主との支払い条件の交渉と決定、(3)各SDの担当エリア、交番の決定、(4)各SDの休暇の決定、(5)荷主事故の処理(一件30万円まで)を行っている。
このSDによる小集団活動組織によって、「経営への参加意識が高まる」、「SD間のコミュニケーションが高まる」、「グループ間の競争意識が出る」、「一人一人の目標が身近になる」、「将来のリーダーがこの制度により育成される」などのメリットがある。それに付加して、このSDによる小集団活動組織の導入により現場に多大な権限委譲が行われていることから管理者がいらず、ヤマト運輸は10万人を超えるSDがいながら管理者は二千人弱ですんでいる。これによりコスト削減も進んでいる。
一方、JPEXのSDには今のところこの権限委譲はほとんど視えていない。JPEXは、「人」、「組織」としての弱みをカバーしながら、郵政グループとしてのネットワークの活用を強みとして、ヤマト運輸に挑戦することとなる。